お客様のためのWebサイトとは何か?

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「日本経済新聞 電子版」は新聞の優良顧客向けサービスであり、裾野を広げるものではない

ついに日本でもネット広告費が新聞広告費を抜きました。
と言っても、目立つのはネット広告費の伸びより、新聞広告費の落ち込みですね。

ネット広告費、新聞抜く 総額は11.5%減-ITmedia

新聞の広告の反応は落ちているため、出稿が減っていると聞きます。

さらに、若者の新聞離れが深刻さを増しています。
私も昨年、新聞購読を止めました。ニュースはテレビやネットで無料で見れるものと考えているからです。

新聞社の収益源である広告料と購読料。その2つの柱が大きく揺らぐ中、新聞各社は生き残るためにどのような手を打つべきなのでしょうか?残念ながら誰も明確な答えは持っていません。

そんな中、日本経済新聞社がこんなサービスを開始します。

日経を丸ごと読める「Web刊」、単体月額4000円で 「良質な情報はタダではない」-ITmedia

--------以下引用-------------------
日本経済新聞社は2月24日、無料・有料コンテンツを組み合わせた本格的なネット新聞「日本経済新聞 電子版」(愛称:Web刊)を3月23日に創刊すると発表した。1日から購読申込みを受け付ける。

「NIKKEI NET」をリニューアルする形で、一部の記事を無料で提供。有料会員になると、日経本紙に掲載される全記事を丸ごと読める。携帯電話からのアクセスや、設定したキーワードに関するニュースの自動ピックアップ、記事クリッピングなども有料会員向け機能として提供する。

料金は、本紙(全日版3518円、朝・夕刊セット4383円)を購読していればプラス月額1000円、Web版だけなら月額4000円。

喜多恒雄社長は「紙の新聞の部数に影響を与えないことを前提にした価格設定」と説明している。
--------引用ここまで-------------------

まず最初に、
「電子版にすると流通コスト下がるのに、なぜ電子版のみで4,000円なんだ?安くせなアカンやろ。」
とツッコミを入れたくなりました。


--------引用ここから-------------------
「良質なコンテンツはタダではない。本当に価値がある情報や機能には、それにふさわしい対価をいただきたい」――有料のWeb版を提供することで、「ネットの記事はタダ」という常識を覆し、新聞不況を脱する一石にしたい考えだ。
画像 喜多社長

 「ネットに無料の情報があふれる中、情報が本物か、発信源はどこか、誰か事実を確認したのか、確かなものが分かりにくくなっている面もある。紙の新聞で培ってきた正しい報道や価値のある言論、ジャーナリズムを、PCや携帯電話などデジタル機器に親しんだ人にも提供するのが使命」(喜多社長)
--------引用ここまで-------------------

うーむ。
良質なコンテンツかどうかはさておき、PCや携帯電話などデジタル機器に親しんだ人に提供するのであれば、電子版のみで4,000円というのは絶対ありえません。

しかし、本紙を購読していればプラス月額1,000円で電子版を読むことができるということで、紙の購読者に対してかなり優遇した価格設定になっています。

「紙の新聞の部数に影響を与えないことを前提にした価格設定」ということなので、あくまでメインは紙なのです。

紙の新聞を評価してくれる人がメインターゲットということです。
そしてそれは、現在の新聞購読者にほかなりません。

つまり、これは既存の優良顧客向けサービスにすぎないのです。これでは購読者数を増やすことは難しく、マスメディアとしての影響は今後ますます小さくなることが予測されます。

そしてこの流れは、後で電子版の価格を値下げしたとしてもくつがえることはないと思います。

なぜか?

このタイミングを狙ったのか、M1・F1総研からでこんな調査結果が出ていました。


「金がかかるから」、若者が新聞を読まない理由トップに--M1・F1総研調べ-CNET Japan

--------引用ここから-------------------
普段新聞を読まないM1層が「新聞を読まない理由」としては、「料金がかかるから(62.6%)」が1位。また、「他のメディアから得られる情報で足りているから(24.5%)」も上位に挙がっており、M1・F1総研は「他で間に合う情報に対してわざわざお金を払うことに抵抗を感じている様子がうかがえる」と分析している。
--------引用ここまで-------------------

やはり、有料の新聞というメディアは、マスメディアとしての影響力は小さくなり、既存購読者のみに評価されたニッチメディアに変化していくと思います。

ただ、ニッチメディアになったとしても、ある分野におけるニッチ層を狙えるわけでもなく、広告価値が上がるわけでもありません。今の新聞の広く浅くというコンテンツでは、ターゲットが絞り込めないので、掲載される広告の反応が上がることは考えにくいのです。よって将来的に広告収入が上がることもあまり期待できないと思います。ただし電子化によって、登録者の属性ごとに紙面の広告を細かく差し替えることができれば別ですが。
こちらによると、もちろんそれは考えているようですね。

と言っても、悲観的なことばかりではありません。顧客一人あたりの収益は上がるでしょう。それにしても紙の購読者に対してプラス1,000円のみのプランとは、選択肢が少ないですね。

松・竹・梅ではありませんが、購読者の興味関心に応じて、より商品を細分化してクロスセルするような商品にすれば、さらに顧客一人あたりの収益を上げられる可能性はあると思います。

例えば記事単位で販売するなどです。これなら特定分野だけに興味のある人も取り込めるかもしれません。ただし、その場合、日経だけのコンテンツでは苦しいでしょう。読売、朝日や他の専門紙と組んで、登録したキーワードにマッチする記事を全てクリッピングして提供すれば面白いと思います。

いずれにしても、課題は新規顧客の拡大です。「良質なコンテンツはタダではない。本当に価値がある情報や機能には、それにふさわしい対価をいただきたい」ということですが、私には価値が感じられません。

興味ある分野のニュースなら、ネットの方が深いと思っています。
広く浅いニュースもTVやネットで十分です。

電子新聞という、紙の体裁をそのまま電子化しているだけの点も、非常にもったいない気がします。
面白い記事のURLを紹介し合うという、ソーシャルメディアの特徴も生かすこともできないからです。

この点は、元時事通信記者でIT関連で多数の著書を出している湯川鶴章さんもブログで指摘しています。

日経の電子新聞は成功するか失敗するか-Tech Wave

結局、このサービスは今の新聞に価値を感じている優良顧客からの収益を上げることにはなるでしょう。しかし長い目で見ると、新聞に有料の価値を感じている層の減少により、顧客数の減少は避けられないと見ていますが、いかがでしょうか。

補足として、今回の日本経済新聞電子版の価格設定について、行動経済学の観点から分析した非常に面白い記事がありましたので紹介します。

日本経済新聞電子版の価格設定から透けて見える日経のホンネ-A Successful Failure

姉妹サイト>>実務未経験者がWebデザイナーになる方法

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