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Webデザイナーを目指す人へ(3) Web業界って本当のところどうなの?

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引き続きWebデザイナー志望者のご相談を受け付けている。

今までたくさんのご相談をお寄せいただき、私の返信が追いついていない状況である。よって予定どおり、今月の20日に一旦相談受付を締め切る。

さて、今回はまた、相談の中から1件紹介させていただくことになった。掲載許可をいただいたヒデさん、ありがとうございます。

ヒデさんの悩みは本当にWeb制作の世界を目指していいものか?趣味でとどめるべきか?というものであった。悩みの原因は面接で制作会社に言われた言葉だった。

同じようなことを面接で言われるケースは多いと思う。しかしその一言を今の私が言われたとすれば、どのように考えるか?そのように答えるか?

今回はそんなアドバイスをさせていただいた。以下にメールのやりとりを掲載させていただく。



□■ご相談者:ヒデさん 23歳■□

はじめまして小林様。
WEBデザイナーを本気で目指そうか悩んでいるヒデと申します。

私は昔から絵を描くのが好きで、現在も私のフットサルチームのHPを独学で制作し、管理しています。

しかしいざ就職活動してみると、どこも「PhotshopやIllustrator、Dreamweaver、Fireworksを扱える人」が必須条件であり、私のような素人が扱わないようなソフトばかりです。

そこで考えたのが、「専門学校へ行って、これらのソフトを実際に触り、モノにしてから就職活動する」という事です。

ただそこで問題なのはお金です。

私が聞きたいのは「WEBデザイナーは金銭的に潤う事はできるのか」という事です。
もちろんクリエイティブな仕事ですからピンキリだとは思いますが・・・

先日とある企業の面接でこんな事を言われました。
「今WEBデザイナーやっても数こなさないと食っていけないよ。今1本5万~10万だから、毎日朝から終電まで働かないとやっていけない。クリエイターというより流れ作業的な仕事。」と。

ショックでした。
実際どうなのでしょうか?

好きな事を仕事にし、金銭的にもある程度余裕があり、なおかつ自分の時間も持ちたいと思う私は、やはり欲張りな世間知らずのガキでしょうか?
1から何かを造る右脳を使った作業は大好きなのですが、親を安心させたい気持ちや、将来家庭を持った時を想像すると、どうしても現実的な問題が絡んできます。

もしそこまでしないと食べていけないのであれば、専門学校へは行かず趣味の世界に留めておいた方がいいのかな・・・とも思います。
一度専門学校選びに失敗して、親にお金を無駄に消費させてしまったので(もちろん今回は自分で払っていきますが)。

お忙しいとは思いますが、お返事いただけたら幸いです。
辛口の意見を言ってくださって結構ですので、「このアマチャンが!」とか何でも言って下さいね。

それでは失礼いたします。



□■おこたえします。 小林謙輔(管理者)■□

ご相談ありがとうございます。Kobakenジャーナルの小林です。

それでは早速、ヒデさんのご相談に対する私なりの意見を伝えたいと思います。


> 先日とある企業の面接でこんな事を言われました。
> 「今WEBデザイナーやっても数こなさないと食っていけないよ。今1本5万
> ~10万だから、毎日朝から終電まで働かないとやっていけない。クリエイター
> というより流れ作業的な仕事。」と。ショックでした。
> 実際どうなのでしょうか?

これはもしかしたらヒデさんのやる気を見るための質問かも知れません。
もしそうではなく、この会社の本当の実情を言ったのであれば、こんな会社は止めた方がいいです。

1本5万~10万じゃないと仕事がもらえないという会社は、提案力がないのです。

Webサイトは、クライアント(発注者)の何らかの利益に貢献しなければなりません。

利益とは、下記の式で表されます。


●(1)利益=(2)売上-(3)原価


利益に貢献するとは利益をUPするということです。
クライアントに対して、(1)利益をUPするようなWebサイトを提案するには、単純に2つのアプローチに絞られます。

(2)売上を上げる提案
(3)原価を下げる提案

これは、上記の式を見れば明らかですよね。

私たちは通常、クライアントに対して(2)と(3)を織り交ぜた提案を行なうのですが、ヒデさんが面接された会社は(3)の提案しかできていないことになります。しかもそれは同業者から見れば、腹立たしいくらいの極端に安い価格です。
まさにWeb業界を衰退させる価格だと言えます。

(3)の提案なんて、どこも大差がないわけです。
「構築・運用費用をいかに抑えるか」
なんてことは、他の制作会社との差別化にはなりません。クライアントにとっては高いか安いか、それしか感じられないからです。
むしろ、本気でWebに取り組もうとしているクライアントは、(2)の提案に対して反応するのです。

制作会社は(2)の提案を行なえないと、価格競争に巻き込まれてしまうのです。制作会社にとっては、(2)に関してどのような提案を行なうことができるかが、他社との差別化につながり、生き残っていく重要な課題となるのです。

私が先日、企画書を作成し受注が決まったコンペの話をします。(価格は仮定値であり、実際と異なります)

このコンペでは、4社競合となりました。1社は提案書が間に合わずリタイヤ。私の会社以外の2社はコスト(3)を抑えた提案で、40~50万円という提示だったということを聞いています。

それに対して私たちが出した提案は、(2)に関する提案を数案かかげ、しかもその提案一つ一つが有機的に繋がって利益UPとなるようなビジョンを挙げました。

「この提案をいくつ実施するかで価格が変わります。その価格は80~200万円程度です。正式なお見積は、当社に決めていただいて、実施するコンテンツを詰めてからとなります。」

というようなものでした。つまり、他社より価格が高くても、提案がよければ受注できるわけです。
受注が決まってからクライアントが言っていたのですが、

「御社が一番、可能性を感じさせてくれる前向きな提案だった。」
と言っていました。


よって、先ほどの会社は、ヒデさんに対して
「私たちの会社は提案力が無く、特徴がありません。よって価格を極端に下げないと受注できないのです。」
と言っているようなものです。

私に言わせれば、このような発言を当たり前のように、しかも外部の人間に対して平気でしている会社はプライドもポリシーもない、何も努力していない会社です。考えていない、額に汗していない会社なのです。


もし今度こんな会社に出会ったら、
「なぜ、そんな苦行をしているのですか?」
「今の状態でいいと思っているのですか?」
「今の問題はどこに原因があるのですか?」
「今の状態を脱するために会社として取り組んでいることがありますか?」
と聞いてみてください。


実際に現在のWeb業界は、制作会社同士の価格競争になっており、次々に淘汰されています。
よって単なる綺麗なページを作るだけのWebデザイナーなら、就職は非常に厳しいのです。

だからこそ、私たち制作会社の人間が、提案力と実行力のある会社に変わってかなければいけないのです。
そして、そういう会社になっていくためには、提案力・実行力のある人材が必要なのです。


> 好きな事を仕事にし、金銭的にもある程度余裕があり、なおかつ自分の時間も
> 持ちたいと思う私は、やはり欲張りな世間知らずのガキでしょうか?

そんなことはありません。金銭的にも余裕があり、自分の時間もたっぷりあるという成功者の共通点は、

「自分の好きな仕事をしている」

ということなのです。

金銭的に余裕があっても、嫌な仕事をしている人に真の満足はないと持っています。
「一度きりの人生なんやから、満足を得るための欲求があって、それを求めて何が悪い」
と言えると思います。

> 1から何かを造る右脳を使った作業は大好きなのですが、親を安心させたい気
> 持ちや、将来家庭を持った時を想像すると、どうしても現実的な問題が絡んで
> きます。

ヒデさんの気持ちは十分に理解できるところです。

しかし今、会社の寿命は15年とも、10年とも言われています。個人が生涯勤める年数より、会社の寿命の方が短くなっているのです。

このような状況で、ノホホンとした安定を求めることは、逆にリスクがあると思います。
ノホホンとしていた結果、会社をリストラされた場合、あるいは会社が無くなった場合、その人はどうしていいのか分からなくなるのです。
それは、その会社だけで通用するスキルしか持っていないからです。

どこでもやっていく自信をつけるには、やはり
「好きなことを仕事にする」
ということだと思います。好きなことを仕事にしていれば、どんどん実力もアップします。
どの会社でも通用するようになれると思っています。


> もしそこまでしないと食べていけないのであれば、専門学校へは行かず趣味の
> 世界に留めておいた方がいいのかな・・・とも思います。
> 一度専門学校選びに失敗して、親にお金を無駄に消費させてしまったので
> (もちろん今回は自分で払っていきますが)。
> お忙しいとは思いますが、お返事いただけたら幸いです。
> 辛口の意見を言ってくださって結構ですので、「このアマチャンが!」とか何でも言って下さいね。

ヒデさんは決して「アマチャン」ではありません。むしろ一度自分で失敗したと感じておられるなら、次は成功する確率がアップします。

一番怖いのは、

「失敗しないこと」

です。失敗から得られるものは大きいのです。失敗に対して、次は失敗しないように考え、行動することができるのです。

失敗するには
「チャレンジすること、行動すること」
です。


今回、ヒデさんご自身で授業料を払うということですが、非常にいいことだと思います。

自分で授業料を払えば、授業を決して無駄にしないという気持ちが芽生えます。
逆につまらない授業をされると怒りが込み上げてくるのです。
その気迫をもって授業にとりくめば、短時間で驚くほどの成果がでます。

次第に授業の内容がものたりなく感じるようになるかもしれません。そう思えればたいしたものです。
あとは、自分自身で独学していけるようになります。

ヒデさんはまだ23歳。これからまだ50年、60年と人生が続きます。
これからの人生の方が、圧倒的に長いのに、今チャレンジしないとこれからの人生は

「あの時チャレンジしていたら」

と、後悔ばかりが先立ちます。

自分で決断し、自分の責任で行動すれば、後悔はありません。
もし失敗しても、それは先述したように次へのステップなのです。失敗から学ぶことで次にステップアップできるのです。

「失敗を恐れ、何もせず、何十年も後悔して生きる」
これほど不幸なことはないと思います。私は絶対にイヤです。


> 私は昔から絵を描くのが好きで、現在も私のフットサルチームのHPを独学で制
> 作し、管理しています。

素晴らしいことです。アクセス解析は行なっていますか?(数字を単に表示するカウンターではありません)
「アクセス解析 CGI フリー」で検索すれば、無料のプログラムを提供しているサイトがたくさん出てきます。
このCGIの設置も勉強してみてください。

そして、これからは、いかにしてアクセス数を増やし、「反応」を得るようにできるか?

という視点で運営・管理してみてください。「反応を得る」とは何かというと、例えば
「対戦相手を募集する」、
「サイトの感想を受け付ける」など、
ユーザーに行動を起こさせるということです。

こういう視点は、Webデザイナーになる上で必要なものです。

企業のサイトであれば、ユーザーの反応は、「商品に関する問い合わせを受ける」、「商品をWeb上で購入してもらう」などになります。企業サイトを作る上では、ユーザーの反応を得るための企画・設計能力が必要になるのです。

こういうことを考え、実践し、失敗すれば(思うような効果が得られなければ)また修正する。Webサイトの運営はこの繰り返しにより、効果を高めていくのです。ここでも失敗がないとノウハウが生まれません。


> しかしいざ就職活動してみると、どこも「PhotshopやIllustrator、
> Dreamweaver、Fireworksを扱える人」が必須条件であり、私のような素人が扱
> わないようなソフトばかりです。

そうです。必須条件です。これはスクールで学ぶのが効率的です。
ただ、スクールに行く皆さんが勘違いするのが、
「スクールでソフトを習得すれば就職できる」と思い込むことなのです。

これはオイシイことばかり言うスクールの営業マンの責任でもあります。

あくまでソフトが使いこなせるレベルは「必須条件」であり、「できて当たり前のこと」なのです。

Webデザイナーになるには、その必須条件プラス、その人の魅力、可能性が必要なのです。
その人の魅力、可能性はチャレンジして、失敗し、学ぶことで厚みを増します。

先述した、ユーザーから反応を得るサイトを作る視点を養っていくことが大事なのです。


この業界は実力の世界です。スクールや会社に依存しようという気持ちではいつか淘汰されます。
自分自身に依存してください。


ヒデさんの年(23歳)でチャレンジしたいことが見つかったというのは、大きなチャンスなのです。
私は26歳で今の職種へのチャレンジをスタートしたのです。


ぜひ頑張ってください。


小林謙輔



□■ありがとうございます! ヒデ■□

先日質問させていただいたヒデです。
まさか質問に答えてくださるとは!

一言一言に説得力があり、鳥肌が立ちました。
本当にありがとうございます。

必要な事はデザインセンスだけではなく、提案力なのですね。
そして会社に依存するのではなく、自分というものを確立していく。

思い切ってこの業界に進みたいと思います。
小林様の様々な言葉が私の背中を押してくれました。

今回、ヒデさんの相談を受け付けて感じたことは、
面接を実施する会社は、募集してその人を面接に呼んだ以上、自分たちの発言にもっと責任をもって欲しいということである。その道を目指す人は、大きな決断をしてチェレンジしているのである。その人のことを思い、その上で厳しいアドバイスが適切ならまだよい。

しかし自分たちのレベルの低さを、いくら相手が知らないとは言え、正当化してさらけ出すのは結局その会社にとってマイナスなのである。そういう無責任な発言によって、せっかくの芽を摘もうとするのはやめていただきたい。

自分たちの発言は、自分たちを目標にしている人にとって、大きな影響力を持つのである。

私も、毎日毎日、自己表現させていただいているこのWeb業界の今後の発展を願い、自己も高めていきながら、後継者も育てていくんだという、心の豊かさを持っていたいものである。この仕事が好きであれば、そう思うのは必然であると思う。

姉妹サイト>>実務未経験者がWebデザイナーになる方法

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コメント (2)

芳芳:

どうも「ここ始」の芳芳です。
毎回楽しく拝見しています。
特に今回は大変感銘を受けました。
Kobakenさんの熱き心を垣間見た気が致します。

これからも空気を割る(変な表現ですが)ようなご活躍を願って已みません。

芳芳さん書き込みありがとうございます。
Blog始められたそうですね。

私はええカッコ書いていますが、自分自身への戒めというか、
そういう気持ちもあります。

自分の文章も後で読み返したとき、結構気づきを与えてくれるものです。
そういう点で文章を書くということはいいことですよね。

これからもお互い情報発信していきましょう!

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